工事成功コラム集

京間と江戸間はどう違う?修繕前に知っておきたい畳の規格

マンションの大規模修繕やビル改修の際、お部屋のリフォームやリノベーションも同時に依頼されるケースが多々あります。私たちはよく「和室をどうするか」という課題に直面します。
最近ではフローリングへの変更も増えていますが、一方で和の空間は賃貸物件や分譲マンションにおいて、他物件との差別化を図る大きな武器にもなります。
しかし、和室の修繕においてプロとして最も注意しなければならないのが、「畳のサイズ規格」です。
「6畳間だから、6畳分の畳を新調すればいい」と思われるでしょうが、そんなに簡単ではありません。
実は、私たちが当たり前のように使っている「1畳」の広さは、地域や建物の工法、建築年代によって全く異なるからです。
今回は、ビルオーナー様や管理組合様が修繕計画を立てる前に知っておきたい、京間・江戸間の違いや、現代のライフスタイルにマッチした最新の畳事情について解説します。

「京間」と「江戸間」について

畳のサイズには「6畳」という言葉を使いますが、実はその面積は全国共通ではありません。
和室のサイズには、大きく分けて「京間」と「江戸間」という2つの代表的な規格が存在します。

規格 主な地域 特徴 1畳のサイズ(目安)
京間(本間) 関西・中国・九州 畳のサイズを基準に柱を立てる(畳割り) 約1,910mm × 955mm
江戸間(五八間) 関東・東日本 柱の中心間の距離を基準に畳を作る(柱割り) 約1,760mm × 880mm

■なぜサイズが変わったのか?

元々は、畳のサイズに合わせて家を建てる「畳割り」(京間)が主流でした。
しかし、江戸時代に入り人口が急増すると、建築の効率化が求められるようになります。

そこで、柱の配置を先に決めてから、その隙間に合わせて畳を合わせる「柱割り」(江戸間)が登場しました。
柱の内側に畳を敷き詰めるため、江戸間の1畳は京間よりも一回り小さくなったのです。

マンション・アパート経営で注意すべき「団地間」
畳

ビルオーナー様やマンション管理組合様が特に注意すべきは、高度経済成長期以降の集合住宅に多い「団地間」です。

・団地間とは: 江戸間よりもさらに一回り小さいサイズ(約1,700mm × 850mm前後)。
・背景: 限られた居住面積の中で、少しでも多くの部屋数を確保するために普及しました。

大規模修繕やリノベーションの際、安易に「江戸間サイズ」の畳を発注してしまうと、部屋に入り切らないという事態が起こり得ます。
必ず現場での「採寸(寸法取り)」が必須となる理由です。

現代の畳選び:機能性とデザインの進化
琉球畳和室

最近の大規模修繕やバリューアップ工事では、伝統的な藁(わら)の畳だけでなく、ライフスタイルに合わせた新しい素材が選ばれています。

①機械すき和紙畳

ダイケン(大建工業)などに代表される、和紙をこより状にして編み込んだ畳です。
・メリット: ダニ・カビが発生しにくく、色あせしにくい。撥水加工が施されているため、メンテナンスが容易。
・オーナー様の利点: 退去時の表替え頻度を抑えられ、長期的なコストパフォーマンスに優れます。

②縁なし畳(琉球畳風)

正方形の畳を交互に敷くスタイルです。
・メリット: モダンな印象になり、フローリング中心のマンションでもデザインの統一感が図りやすい。
・ターゲット: 若いファミリー層や、和室を「客間」ではなく「多目的スペース」として打ち出したい物件に最適。

まとめ:失敗しない和室修繕のために

畳のサイズ規格がこれほど多様なのは、日本の建築文化が「効率」と「美意識」の間で進化してきた証でもあります。

お部屋のリフォームやリノベーションの際には、以下の3点を意識してみてください。
①「〇畳」という言葉を過信せず、実寸を確認する。
②物件のターゲット層に合わせ、和紙畳や縁なし畳など素材を再検討する。
③柱のゆがみに合わせて1枚ずつ調整する職人の技術を大切にする。
和室は、適切に手入れをすれば物件の大きな魅力(差別化)になります。修繕計画の際は、ぜひ畳の規格にも目を向けてみてください。