マンション大規模修繕工事と談合の実態
あなたのマンションは大丈夫ですか?
数十年に一度の大規模修繕工事は、マンションの資産価値を維持し、住民の安全を守るために欠かせません。
しかし、その裏側で、工事費を不当につり上げる「談合」という不正が、私たちの財産を蝕んでいます。

2025年3月4日、首都圏のマンション大規模工事を巡り、公正取引委員会(公取委)は、独占禁止法違反(不当な取引制限、すなわち談合)の疑いで、マンション修繕大手やその子会社など約20の業者に対し、一斉に立ち入り検査を実施しました。
これは、私たちの積立金から支払われるべき工事費が、業者間の不正な取り決めによって不当につり上げられていた可能性を示す、非常に重大なニュースです。
そもそも談合とはどういうことなのでしょうか?
「談合」とは、本来複数の業者が競争し合うことで適正な価格に落ち着くはずの工事費を、参加業者が事前に「今回はA社が受注し、価格は〇〇円にする」といったアポイントメント(示し合わせ)を行うことで人為的に高値に維持する行為です。受注しないと決まった業者は、わざと高い金額で見積もりを出すなどして、競争しているふりをするため、真の価格競争は行われません。
このような談合の結果として、マンションの管理組合(所有者)は、本来よりも10%から20%、場合によってはそれ以上割高な工事費を支払わされることになります。これは、住民が将来のために積み立てた大切な修繕積立金が、業者間の不正な取り決めによって不当に使われてしまうことを意味します。

大規模修繕工事を巡る不正は、談合だけにとどまりません。工事費の高騰の裏側には、管理組合の専門知識不足につけ込んだ、より複雑な不正が潜んでいることがあります。
大規模修繕工事において管理組合をサポートするコンサルタントが不正の温床となるケースがあり、一部の不適切なコンサルタントは、特定の修繕業者と結託して選定を支援する見返りにリベート(裏金)を受け取るだけでなく、不要な工事項目を追加したりグレードの高い仕様を提案したりすることで工事費全体を水増しし、そこからリベートの原資を捻出しているのが実態です。
談合や不正なコンサルタントが絡むと、業者間での価格競争がなくなるため、提出される見積もりは市場価格を大きく上回る根拠のない高額請求となり、さらに詳細な単価や数量を記載せずあいまいな表記の「一式」表示が乱用されることで不透明になり、管理組合がその適正性をチェックできなくなります。
上記では談合や不正問題についての実態をお伝えしました。
では、談合・不正にあわないために管理組合がどのようなことができるでしょうか?
マンションの管理組合、特に理事会は、大規模修繕の「発注者」として、自らの財産を守るための行動が求められます。
大規模修繕は専門的であるものの、「わからないから業者やコンサルタント・設計事務所にすべて任せる」という姿勢は不正を招く最大の要因となるため、理事会内部で書籍やセミナーを通じて基礎知識を身につけることが重要であり、コンサルタントや設計事務所を導入する際も、選定プロセスを透明化し、相見積もりを取るなどして特定の業者と癒着のない独立した専門家を選ぶことが肝心です。
談合を防ぐ最も有効な手段は真の競争原理を働かせることであり、談合を疑う際は、あえて別のルートや異なる系列の業者から見積もりを取得する「相見積もり」によって談合の均衡を崩すことが有効です。

提出された見積もりは形式的な比較に留めず内容を精査する必要があり、そのために業者には工事項目ごとの単価、数量、材料名などを明確に記載するよう強く求めて「一式」表記を避けさせるとともに、可能であれば管理組合もしくは理事会で単価をチェックすることが大切です。その参考資料として一般社団法人経済調査会が発行している「積算資料ポケット版マンション修繕・再生編」があります。
足場や塗装、防水など大規模修繕工事の内容であればほとんど網羅されています。㎡単価で載っているので単価をチェックする際はとても役に立ちます。ちなみにプロの私たちも活用しています。マンションにとって重大なイベントである大規模修繕においては、管理組合が一丸となって知識武装し、積極的な姿勢で臨むことが大切な修繕積立金を不正から守る唯一の道となります。










