大規模修繕工事で後悔しないために!不適切なコンサルタントの見分け方
10年~15年に一度のこの重要な工事において、専門的な知見を持つコンサルタント会社を導入する「設計監理方式」を検討される管理組合様は少なくありません。
しかしながら、残念なことに、近年では不適切なコンサルタントの存在が社会的な問題として浮上しています。
「設計監理方式を選びたいけれど、どうやって信頼できる会社を見極めたら良いのか不安だ」と感じている理事会や管理組合の方々も多くいらっしゃるかと思います。
このコラムでは、大規模修繕工事の方式選択から不適切コンサルタントがもたらす深刻な弊害、そして公正で信頼できるコンサルタントを選定するための具体的なポイントまでを詳しく解説いたします。

大規模修繕工事の進め方には、主に以下の2つの方式があります。
①責任施工方式
施工業者(1社)が、計画・設計・監理・施工の全てを一手に担う方式です。特徴はトータル費用が安価になる傾向があることです。
②設計監理方式
コンサルタント業者と施工業者(2社)で、プロセスを分担する方式です。相互監視機能が働くといった特徴があります。

設計監理方式のメリットを最大限に享受するためには、公正なコンサルタントの選定が不可欠です。
コンサルタントの本来の役割は、「管理組合様の利益を最大化し、高品質な工事が適正価格で実施されるよう支援すること」です。
しかし、一部の不適切コンサルタントはこの役割を裏切り、不当な行為によって工事の品質を低下させるだけでなく、相場以上の高額な工事費用を管理組合に請求します。
■なぜ不適切コンサルタントが生まれるのか?
問題の根源の一つは、彼らが当初、相場よりも著しく低いコンサルティング費用を提示してくる点にあります。
設計監理方式が推奨される風潮の中、費用を抑えたい管理組合は安さに惹かれてしまいがちです。
しかし、その裏では不適切コンサルタントが施工業者と結託し、バックマージン(リベート)を得るためのスキームが構築されているのです。
結果として、管理組合はコンサルタント費用は安く済んだと思いきや、蓋を開けてみれば工事費用全体が当初の予定を大きく上回るという事態が後を絶ちません。
■不適切コンサルタントに依頼した場合の4つの弊害
多額の費用がかかる大規模修繕工事において、不適切コンサルタントを選んでしまうと、以下のような深刻な弊害が発生するリスクがあります。
①工事費用が割高になる
提示されたコンサルタント費用が破格の安さであったとしても、裏で施工業者と繋がり、工事費用自体を相場よりも高額に水増し請求する手口が横行しています。
管理組合様は、気づかないうちに不必要な割高な費用を支払わされている可能性があります。
②工事内容が過剰になる(過剰修繕)
「素人には見抜けないだろう」と、建物の安全性を口実に、本来不要な「過剰修繕工事」を追加して工事費用を嵩増しするケースも少なくありません。
住民の安全を担保するという心理を利用されると、管理組合側は強く拒否することが難しくなります。癒着がある場合、相互監視機能は働かず、コンサルタントと施工業者の言い分を一方的に受け入れざるを得ない状況に陥りがちです。
③手抜き工事につながるリスク
コンサルタントは本来、工事実態の監視などを行うべきですが、不正な利益を目的とする不適切コンサルタントは、この本来業務である監理責任を放棄する傾向があります。
また、不正に加担する施工業者もまた、責任感を持って高品質な工事を完遂するとは考えにくく、結果として手抜き工事につながるリスクが高まります。
④工事発注の経路が不明確になる
不適切な利益誘導のため、コンサルタントと施工業者の間の関係性が不透明になり、特定の業者への発注経路を不明瞭にする傾向も見られます。
これは、設計監理方式の最大の利点である「透明性」を完全に失わせる行為です。
優良なコンサルタント会社にとっては極めて遺憾な状況ですが、不適切な会社が市場で増え続けている背景には、業界特有の歪んだ構造があります。
まず大きな要因として、不適切コンサルタントと工事会社が結託することで、容易に不当な利益を生み出せてしまう仕組みが挙げられます。
本来は抑制されるべき割高な工事費を簡単に請求できてしまうため、そこで得た潤沢な資金を広告宣伝などに投じ、見かけ上の実績を積むことで「大規模な設計事務所」としての社会的信頼を勝ち得てしまうという、悪質な循環が生まれています。
こうした状況下では、施工業者からリベート(手数料)を受け取って営業的な優位性に立つ不適切コンサルタントに対し、公正な営業を貫く優良な会社が対抗できず、市場競争から駆逐されてしまうという現状があります。
その結果、選択肢の中に不適切な営業をかける会社が相対的に増えていくという深刻な事態を招いています。
さらに、不適切かどうかの判別が一般の管理組合様にとっては非常に困難であることも問題を根深くしています。
結果として業界全体の信用が損なわれ、設計監理方式そのものへの不信感に繋がっている現状に危機感を抱いています。
不適切コンサルタントを見破ることは容易ではありません。
だからこそ、国土交通省が推奨する公的な相談窓口の活用なども視野に入れつつ、最大限の注意を払って選定する必要があります。
国土交通省の実態調査資料(※1)などを参考に、優良なコンサルタント会社を見極めるための具体的なポイントをご紹介します。
(※1)国土交通省が平成30年5月11日に出した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」
①担当技術者の実績と責任感を確認する
コンサルタント会社の実績だけでなく、実際に大規模修繕工事を担当する担当者の経験値と、その仕事に対する責任感を見極めましょう。
事務所を訪問して社内の雰囲気を確認したり、実際に修繕を担当したマンションの管理組合にヒアリングを行うことも有効です。
②長期的なサポートを依頼できるか
大規模修繕工事は10年~15年スパンで実施されます。
工事が完了した後も、建物の経年変化を長期的な視点で観察し、次期修繕計画まで見据えた継続的なサポートを提供してくれる体制があるかを確認しましょう。
③管理組合・理事会との相性を重視する
大規模修繕は、コンサルタント会社と管理組合・理事会が二人三脚で進めるプロジェクトです。
「議論を前向きに進めてくれるか?」「住民との合意形成にも深く関わってくれるか?」「最初から最後まで責任を持って伴走してくれることを確信できるか?」
こうした長期的な信頼関係を築けるかを軸に、相性を重視して選定することが成功の鍵となります。
④コンサルタント費用の内訳を明確に提示するか
コンサルタント費用が「工事費の一部」として曖昧に計上されていないか、内訳を公正かつ詳細に提示できる会社を選びましょう。
安さだけでなく、その費用でどこまで責任を負い、何をしてくれるのかを明確にすることが重要です。
⑤透明性・客観性の維持を約束できるか
設計監理方式最大のメリットは透明性の確保です。
公明正大にコンサルティングを行い、施工業者との癒着を断固として拒否し、客観的な第三者としての立場を堅持することを約束できる会社を選定しましょう。

公正なコンサルタント会社を選定することができれば、設計監理方式はマンションにとってこれ以上ない安心感と大きなメリットをもたらします。
まず、最大の利点は工事内容が客観的に定められる点にあります。
また、管理組合様の意向を設計段階で柔軟に取り入れやすいことも大きな特徴です。
コンサルタントが組合側のパートナーとして、細かな要望を汲み取りながら現実的な施工計画へと具体化し、それを正確に工事業者に伝達する橋渡し役を担うため、住民の方々が納得できる大規模修繕を実現しやすくなります。
このように、施工業者とは異なる立場のコンサルタントが介在することで、計画から施工にいたるすべてのプロセスに「ダブルチェック」という相互監視機能が働きます。
この第三者の視点によって担保される透明性こそが設計監理方式の真髄であり、公正な取引を通じた質の高い工事の完遂を可能にするのです。










